院長ブログ カーブ

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第129回 忙酔敬語 子はカラダの一部 

昨年の暮れ、テレビで『バカの壁』で有名な解剖学者、養老孟司先生の対談がありました。「子供は母親にとってどんな存在ですか?」という質問の答えが、「いつまでたってもカラダの一部です」。この一言で長年の疑問が解消しました。
患者さんの悩みの原因に「子供がいじめられている、勉強をしない」など子供に関する話題が大きくかかわっています。とくに「勉強をしない」は、私自身、その気がなければいくら机に向かっても小説を読んだり他のことを考えたりしてきたので、まわりでとやかく言っても全くのムダだと信じています。その辺の所をいくら説明してもなかなか理解してもらえません。父親の方はたいてい私と同じような態度で、本人の自覚を待つしかないと泰然と構えているようです。高学歴の女性ならどうかと思っていたら京都大学出身で、お産をした後、博士号まで習得した方が、「私もムダと分かっているのにヤッパリ勉強しなさいと言ってしまいます」と苦笑いをしながら教えてくれました。子供の心配は生理的に女性のカラダにこたえるようです。
NHKで放送しているワイルドライフを見ていた女子中学生が、「結局、オスって種付けしか存在価値がないのね」とスルドク看破し、父親をあわてさせたそうです。ほ乳類のほとんどのメスは子供を守るのに必死です。それに対してライオンなどのオスは自分のDNAを引き継いでない赤ちゃんを食べてしまいます。まさに鬼畜生ですね。
最近、遺伝子鑑定で自分の子でないと分かっても親権を主張している男性に対して最高裁判所が検討していると報道されました。くわしい事情を知らない私がとやかく言える立場ではありませんが、生物学的見地から「子はカラダの一部」なので、女性にお任せでよろしいのではないかと思います。メスと違ってオスは機会さえあればいくらでも子は作れます(人間ではそうもいかないか・・・・)。女性に見限られたわけですからいさぎよく諦めた方がカッコイイと思います。
そこで思い出したのがフランス語の「コキュ」という言葉。原田康子さんの代表作『挽歌』で若い女主人公が中年の男に言った「あなたコキュね」が印象的でした。あとは筋書きもすべて忘れてしまいました。妻に不倫された男性を意味するフランス語で、こんなややこしい状況を短い単語で言い表すとはさすがアムールの国と感心したことでした。思い出したついでにネットで調べてみたら、
1.コキュ:浮気されていることを知らない。
2.コルナール:浮気されて、激怒している。
3.コルネット:浮気されていることを知っていても、泰然自若としている。
こんなにいろいろなバージョンがあるとは知りませんでした。コルネット、なかなか良いですね。そう言えば筒井康隆さんの傑作『大いなる助走』には読者の予想をはるかに越えるコルネットの男が登場し、1ページくらいですが圧倒的な存在感を発揮しています。
話がそれてしまいました。女性にもいろいろあって母親に向かない怖い人もいます。ギリシャ神話の魔女メディア。彼女は夫のイアソンの浮気の復讐のため自分の産んだ2人の子供まで殺し、その結果、イアソンは狂い死にしてしまいます。私は昔からこの復讐の仕方が納得できませんでした。イアソンを直接殺すのなら分かりますが自分の子に手をかけるなんて信じられません。古代ギリシャには本当にこんな怖い女性がいたのでしょうか?