院長ブログ カーブ

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第125回 忙酔敬語 学会で大いにたたかれる

5月16日(金)~18日(日)、愛媛県松山市で全日本鍼灸学会が開催されました。
18日の最終日は私の発表でした。このブログでも何度か紹介した腰痛に対する円皮鍼による治療です。その後、症例数を100例まで増やし、著効59例、有効38例、無効3例と自分でも信じられないような結果が出たので意気揚々とポスターの前に立ちました。
しかし、何だか険悪な雰囲気でちょっとたじろぎました。はたして「腰痛の原因に対してしっかりと診断しているのか?」、「反対側の穴(ツボ)とはどういうことか?」、「いったい腰とはどこのことだと考えているのか?」等々、スルドイ質問が飛んできました。
腰については「この辺です」と臍のあたりからお尻の下まで手で指し示したところ、まさに馬脚を現した呈でした。こんな事も分からないでよくもまあ図々しく腰痛のセッションに参加したもんだと呆れられました。あとで『腰痛診療ガイドライン』を読むと「触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域とするのが一般的である」と銘記していました。ウーム、あまりにも勉強不足だったなあ。しかし、私が腰についての定義も分からないなんてよくも見破ったものです。
治療の結果についてはにわかに信じてもらえないことは予測していたので、生のデーターを記載したいわゆる「研究ノート」を持参しました。発表時間はまたたく間に終了し、「反対側の穴とは何だ」と言う先生達に個々にお示して納得してもらいました。
そもそも私の発表の目的は、お金も時間もかからず、その上、それほど頑張って勉強する必要もないこの簡単な方法を世間に知らしめたいということでした。
今回の治療法は、帯広の東方治療院の吉川 正子先生が中心となって行っている「陰陽太極鍼法」の応用です。痛みを例にとると、痛い部位と反対側に治療する鍼治療です。鍼もごく浅く刺すので痛みを感じることはありません。具体的には右肘が痛いときは左膝に治療するといった方法です。私は吉川先生に手を取って教えを請うたことはありません。先生の講演を聴いたときも「痛い場所に治療すればよいのに反対側だなんて遠回りなことするものだなあ」と思いました。しかし、実際に必要になる状況に出くわしてからこの治療法にハマリました。妊婦さんが赤ちゃんの頭の圧迫などで恥骨や鼠径部が痛くなり、場合によっては歩けなくなることもあります。そんなときは以前でしたらその場所に鍼を打ちました。しかしデリケートな部分なので嫌がる女性もいます。そこで「陰陽太極鍼法」を思い出して、恥骨の場合は首の後ろ、左鼠径部の場合は右肩の下方に鍼治療をするとたちまち痛みがなくなり患者さんも私もビックリという経験をしました。この成果をまとめて発表したところ吉川先生は大変喜んでくださいました。
それでは腰痛にもと思いついたのが昨年の正月明けです。これも驚くほど効きました。そこであまり勉強しなくても誰にも出来るんだというスタンスで今回の発表に至ったわけです。腰痛は人類にとって大きな問題なので、腰痛をライフワークとして研究をしている整形外科や鍼灸師の先生は大勢います。それらの先生方の前で生半可な知識でも治療できるんだと発表したのが間違いでした。発表するからには腰痛の定義くらいは答えられないと話になりません。また「陰陽太極鍼法」も意外に知られていないことが分かりました。
学会に臨むには、それなりの準備をしておかなければ説得力がないとあらためて思い知ったしだいでした。