院長ブログ カーブ

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第113回 忙酔敬語 OK牧場

50歳以上の男性は西部劇の「OK牧場の決闘」を思い浮かべるかもしれませんが、これはれっきとした心理学の用語です。カナダ出身のユダヤ系アメリカ人の精神科医エリック・バーン博士の提唱した「交流分析」の一部です。
「交流分析」は人間関係をスムーズにするための心理療法です。アメリカで使われる俗語をたくみに使って解説しているため、分かりやすく、簡易精神分析とも言われています。
「OK牧場」もその一例で、人によって他人とどのように関わるかを以下のように四つのパターンに分類して説明しています。

①私も他人もOKである。
この立場の人は自分も他人の存在も認め、楽観的で健全な人生観を持っています。物事の存在を無視しないで、正面から取り組み、おたがいに納得する方向へ問題の解決を押し進めるため、スッキリした気分でいられます。
②私はOKでないが他人はOKである。
これは抑うつ的立場ともよばれ、人づきあいに悩む人に最もよく見られるものです。このタイプの人は幼児期に欲求が満たされないため、自分はOKでないという立場をとるようになってしまったのです。自分は愚かだとか、劣っているとか思いがちで、問題が生じたとき、逃げのスタイルをとります。
③私はOKであるが他人はOKでない。
幼児期にひどく無視されたり虐待されたりすると、逆にOKでないのは自分ではなく、他人であるという立場をとるようになります。このような人は他人とつきあうとき、攻撃的で相手を排除しようとしますが、自分に対する責任はとろうとしません。
④私も他人もOKでない。
これは幼児期があまりにも悲惨だったため、自分自身も他人も存在する価値がないと思い込んでしまった人がとる態度です。人生に対する興味がなく、どうしようもないという慢性的な感情を持っています。

ふつう、人はその時々で①や②、③や④といった態度をとりますが、重要な問題に直面すると、その人本来の立場が出現します。各項目で、その立場をとる原因を精神分析みたいに幼児期の体験で説明しましたが、今さら過去を変えることは出来ません。「自分がツライ人生を送っているのは親のせいだ」なんて決めつけないで、なるほどそんな考え方もあるんだなと軽く受け止めてください。「OK牧場」は一つの考え方で、真理というわけではありませんから。ただし子育ての参考にはなるでしょう。また、「OK牧場」を理解することで、自分を②、③、④といったツライ立場から①に変えることも可能です。
さて、「交流分析」を提唱したご本尊のエリック・バーン博士がどんな人生を送ったかというと、3回も離婚したうえ、最後の離婚の数か月後にたび重なるストレスのため心臓発作で亡くなりました。享年60歳。「アンタに人の人生をかれこれ言う資格があるのかい?」と突っ込みを入れたくなりますが、ユダヤ系であるがための軋轢を「交流分析」によって、ここまで乗り切ったとも言えます(言えないか・・・)。