院長ブログ カーブ

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第104回 忙酔敬語 愛しの四姉妹

開業するまでは大学病院など基幹病院を中心として診療していました。基幹病院といっても病院によって患者さんの病状や層が異なります。大学病院でお産を希望する患者さんは医療に対しての期待度が高くて高学歴な方が多かったような気がします。その他の基幹病院もこれに準じた患者さんで占めていました。現在の日本の高校の卒業率は98%。身障者でもないかぎり中卒で働いている女性がいるとは思ってもみませんでした。
ところが意外や意外、当院に来てから中卒の若い娘さんがワンサカ受診するのには目から鱗といった思いがしました。別に低学歴の女性を蔑視しているわけではありませんよ。逆に好きでもない勉強を無理にして中途半端な人生を送るよりもずっと良いなあと人生観が変わったしだいです、はい。

※勉強とはもともと「勉め強いる」、気が進まないことを無理してするという意味です。気が進まないのに勉強したって身につきません。これは私の個人的な経験でもあります。
その象徴的な人たちがYさん、Tさん、Eさん、Sさんの四姉妹です。はじめに当院でお産をしたのは当時20歳の次女Tさんでした。長女のYさんはすでに子持ち。Eさんは18歳、Sさんは16歳でまだ幼さの残る少女でした。体格は長女のYさんが一番立派で、年が下になるに従い小さくなっていきました。末っ子のSさんにいたっては第一子は頭の下がりが悪く帝王切開となりました。皆さん、仲良し姉妹で、誰かが妊健で受診するときは基本的に全員一緒でした。四姉妹はもちろん、甥っ子や姪っ子も来て、みな食い入るように超音波の画面を見つめていました。したがって超音波の画像を見る目は確かで、当方が気づく前に誰かが「あっ、チンチンだ!」と叫ぶしまつでした。それは姦しいどころか女が4人なのでさらにやかましく、ときにはこの温厚な私が「うるさい! 静かにしろ!」と注意することもありました。
四姉妹はみな中卒でしたが、とても勘が良く、たとえ嘘をついてもすぐバレバレでした。また、若いので生活力があり、いつも元気でした。また、人に対して深い思いやりもありました。これだけで人生は十分、進学する必要なんかこれっぽちもありません。姉妹のお母さんは子供達とは違ってややおっとりとした感じでしたが、娘達にかける愛情は満ちあふれていました。のびのび育ったのはこのお母さんのおかげなんでしょうね。
ありがたいことに皆さん私のことを信頼してくれ、トータル10人近くのお子さんの分娩に立ち会いました。
以前からこの四姉妹についてブログで紹介したいと思っていましたが、あまりにも個人的なことなので差し控えていました。しかし、最近、三女のEさんにお目にかかり、「オレ、あんた方姉妹のこと尊敬してるんだけどブログに書いてもいい?」とお願いしたところ、「どうぞ、どうぞ」と言うわけでやっと日の目を見ることができました。
じつは私、気が多くて高学歴の女性も好きです。学問が自然に身についた女性とお話しするのは興味がつきず、とても楽しみなことです。たとえば獣医さんが受診したときなどは、犬の帝王切開の話、動物によって痛み方が違うことなど、いろいろと勉強になります。
では、普通の人はどうか? もちろん大好きです!!