佐野理事長ブログ カーブ

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第623回 忙酔敬語 感性を高める。

 日本東洋医学会会長の三谷和男先生が、『日本医事新報』のQ&A コーナーに次のような質問を投稿しました。

 「先達に学ぶことで一番大切なことをお教え願います」

 三谷先生たるお人が何で今さらというような質問でした。多分、漢方を学ぼうとする人たちへのプロパガンダなのでしょう。三谷先生の先達が答えました。

 「感性です」

 好いなあ、私の感性にフィットしました。

 ここで思い出したのが岩合光昭著『生きもののおきて』です。岩合さんは現在は「ネコ歩き」で有名ですが、昔はアフリカのサバンナで、「こんなに近づいて大丈夫?!」と思うほど、ライオンのどアップ写真を撮りまくっていました。岩合さんみたいになると、危ないか危なくないか動物の雰囲気で分かるそうです。

 〈野生の魅力(からだが震えるような感動)は、アラスカにいても南極にいても、そして日本の都会の中にいても、感じる人は感じることができる。残酷なようだけど、感じる努力ができない人は、アフリカに行ったところで何も見えてこないに違いない〉

 この年になると、ど忘れはする(目の前にいるスタッフの名前が出てこないこともあった!)、脚力は衰える、などオレももうそろそろ引退か?と考えたこともありましたが、「感性」はまだ健在であると自覚し(妄想?)、これからも頑張ることにしました。

 私の感性を保つ秘訣は徒歩による通勤です。さいわいにも通勤コースには恵まれています。新琴似の自宅から防風林までの遊歩道と、防風林からは開けた庭のある家が多い屯田です。自然の移り変わりがジカにしみてきます。一昨年の夏から、この瞬間を俳句にしたためて医局にあるパソコンに入れています。俳句を詠むのは原則として行きの片道だけです。帰りは人の往来が多く、自然を楽しむユトリはありません。

 ただし今の時期は冬至を過ぎたばかりなので出勤時間帯は真っ暗です。私は超朝型人間で、5時過ぎに家を出て、職場に着くのは6時過ぎ。キツネに遭遇すれば俳句のネタになりますが、ほとんどが月や星、道路状況や雪といった、まさにお天気おじさんみたいです。それでも頑張って5つばかりひねり出します。以下、12月1日(金)の俳句を披露します(おそまつで恥ずかしいのですが)。その日は曇りで気温は-4℃でした。

 

 窓の外見えるは街の灯りのみ(寝起きにカーテンを開けた風景です)

 枯れ葉の日落花生を棄てにけり(今年収穫した落花生の枝や葉をやっと棄てました)

 目の前を大きな黒猫横切れり(はじめはキツネかと思いました)

 すぐそばを始発電車が通り行く(JR学園都市線です)

 屯田は滑らぬようにと車道行く(歩道はツルツル、車道はほとんど残雪なし)

 街灯にうっすら浮かぶ柳の木(この柳は私のお友だちです)

   感性を高めると、外来診療でもいろいろな発見があります。昨年は依頼講演も含めて8回、学会・研究会で発表しました。今年も症例報告だけで6回予定しています。それにも納まらず来年に回した演題も3つあります。われながらアッパレです。