佐野理事長ブログ カーブ

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第607回 忙酔敬語 男子の性教育

 産婦人科の専門雑誌『産科と婦人科』で性教育の特集がありました。その中で目をひいたのが泌尿器科医・今井伸先生の「男子の性教育」です。女子に対しては、月経にからむ明らかな問題点があるため、昔からそれなりに手厚く教育がほどこされてきましたが、男子はほったらかしと言ってもいい状態です。

 人間の体には2種類の命があります。ふつうの感覚としてある「個体」の命と、子孫に受け継がれていく「生殖細胞」の命です。生殖細胞は卵巣や精巣に存在します。その卵巣や精巣によって個体の活動は大きく影響を受けます。女性は月経などで見当がつくと思いますが、男性はつね日頃、性欲を押さえなければならない日々を過ごしています。ようするに「男もつらい」のです。

 思春期の男子に対する性欲の処理法について、真正面から取り組んでいる記事は、私はほとんど見たことがありません。今井先生はこのタブーについて取り組んでおられます。

サブタイトルの「セックスが上手くできない男性が増えている」、「男性がセックスを完遂するためにはいくつかのハードルがある」、「射精は1日にしてならず」などで、どんなことについて書かれているのかは見当がつくと思いますが、以下、マスターベーション(射精)についての解説を抜粋します。

 マスターベーション(射精)は最重要・最重点項目である。射精の管理なしに男子の性教育はあり得ない。マスターベーションにより自分の性欲をコントロールしたり、意図的な射精の方法を会得したりすることは、男性の性生活の基礎となる。伝えづらいマスターベーションの方法などなどは、「射精道」にまとめており(光文社)、活用していただければ講師と生徒双方の負担軽減につながる(表1)。

 表1.射精道(思春期編)

 1.オナニーを基本とする

 2.セックスは心技体が伴うまで行うべからず

 3.他人に迷惑をかけるべからず

 4.1人になれる空間を確保すべし

 5.勃起した陰茎を軽く握り、亀頭部を刺激するようにしごくべし

 6.汚い手で行うべからず

 7.陰茎を布団や壁にこすりつけるオナニー(床オナ)はしないほうがよい

 8.必ず勃起した状態で射精すべし

 9.少し我慢してから発射すべし

 10.出てくる精液はティッシュで受け取るべし

 12.気持ちのいいオナニーを追求すべし

 13.射精を自在にコントロールできるようになることを目標とすべし

 14.強い刺激のネタばかりを続けるべからず

 15.時々、空想オナニーを行うべし

 16.セックスをしたいと思っても、まずオナニーをすべし(冷静になれる)

  ※青年期編、中高年編なども今井伸著『射精道』(光文社新書)に載っています。