院長ブログ カーブ

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第477回 忙酔敬語 不寛容の時代

 森喜朗元総理が、女性蔑視ととれる失言のためバッシングを受け、東京五輪・パラリンピック準備委員会会長を辞任しました。総理時代から失言の多い人で、何で今さらこんなことで、と私は思いました。大新聞の第一面にデカデカと報じられることかと呆れました。もっと大事なことがあるのにねえ。会長就任当時から森さん憎しのムードが漂っていて、何かあったら叩いてやろう的な雰囲気があり、とうとう叩かれてしまったのでした。

 「女性は話が長い」というのは、もともとそれとなく認識されていたことです。

 『サザエさん』で、草餅を作るためにヨモギ狩りに行ったサザエさんが、野原で知りあいの女性とバッタリ会って長々と話し込んでしまい、夕方になって和菓子店で草餅を買うという4コマ漫画がありました。作者の長谷川町子さんはもちろん女性です。

 私の母はご近所さんと無駄な立ち話を1時間以上するのが常だったので、母方の祖父が生前の時にそのことをぼやいたら、「女は子供に言葉を教えるためにお喋りなんだ」とイヤに説得力のある説明をしました。母の場合は特に長かったようで、妹が母の兄弟の二人のお嫁さん(伯母)に、「たまには母に電話をしてくださいな」と頼んだらところ、即、「話が長くなるからイヤよ」と両者にアッサリ断られました。二人とも聡明な女性です。

 医師会の世話人会で、女性参画の意味もかねて、ある女性医師をメンバーに加えたらと推薦したところ、会長から「あれは話が長いからダメだ」とすげなく却下されたことがありました。これは個人的なことで女性一般として言ったことではありませんが、森さんの発言で、8年前のこの会議のことを思い出してしまいました。

 かように森さんの今回の失言は、総理時代の失態とくらべてまだマシな方だと思います。

 森さんは、「老害と言われ、不愉快だ」と逆ギレしましたが、謝罪の言葉よりもこっちの方が本音でしょうね。

 森さんが総理のとき、二人の娘は高校生と中学生でした。そのころ一緒に楽しんでいたお笑い番組『笑う犬』シリーズで、ネプチューンの名倉さんが、森さんの尻ぬぐいをしていた野中広務幹事長の役で「また、あのバカが・・・」とぼやくコーナーがありました。森さんの訪米が決まったとき、名倉さんの野中幹事長が「あのバカ、クリントン大統領に、How are you ? と間違えて、Who are you ? と言うんじゃねえか?」と言いました。はたして後日、そのとおりになったと毎日新聞などで報じられましたが、本当は毎日新聞の記者のでっち上げだと分かりました。あきらかに『笑う犬』のパクリです。

 その点、娘たちは大人で、「個人的に話したらきっと面白いオジさんだよ」と笑っていました。池上彰さんも「実は森さんは座談の名手なんです」と解説していました。

 管総理の会食や二階幹事長の鼻だしマスクは、国民を舐めきった行為としか思えません。こっちの方が糾弾されるべきです。しかし、もっと情けなかったのが、昨年の年末に海上自衛隊の幕僚長が会食して新型コロナに感染したという事件でした。

 昨年、ダイアモンド・プリンセス号が日本に新型コロナを持ち込んだとき、ある専門家が、検疫官に任せるのではなく、細菌兵器の知識のある自衛隊に任せた方がよかったのではないか、と報道番組で発言していたのを見て、まさにそのとおりだと思い、アチコチに吹聴したらこのザマでした。政治家なんてしょせん素人です。しかし、プロの幕僚長がこんな体たらくでは日本の将来が本当に危ぶまれます。