院長ブログ カーブ

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第414回 忙酔敬語 ニッチをさがせ。

 生物はしたたかなもので生きられる隙間、すなわちニッチが空けばまたたく間に埋め尽くします。環境が変化して、そのニッチが今生存している生物にとって住みにくくなれば、新しい住民が取って代わります。ただしニッチがあまりにも悲惨な状態ならダメです。

 「こんな過酷な環境でよくぞ生きぬいている」と言われる生物がいますが、その生物にとってはそこにしか住めない事情があります。誰にとってもぬくぬくとした環境は生存競争が激しくマヌケな種は根を張ることはできません。アスファルトの隙間に生えている一見アッパレな草花も広い場所を取り損なったか、あるいはそこではダメなワケがあるはずです。ですからその草花をせっかく居心地の良さそうな場所に植えかえても育ちません。

 40億年前に生命が誕生して30億年もかかってやっと多細胞生物が出現しました。その後、多細胞生物はゆっくりと熟成するかのようにいろいろな方向に進化しました。そして5億5000万年前のカンブリア紀に入ると地球の環境は多くの生物にとって住みやすい状態になりました。ニッチなんてもんではなく取り放題の状況でした。そこで生物は爆発的にアッチコッチに進化して現在の基本的な祖先が出そろいました。あまりにもアッチコッチなので今の人々には想像もつかないような奇妙きてれつな動物も現れました。その後、容赦ない火山活動などの影響でせっかく繁栄した生物は5度の大量絶滅の危機にみまわれました。最初の絶滅で奇妙きてれつな生物は整理されて、その後は生き残った生物を基本として進化しました。カンブリア紀に現れた動物の代表格は三葉虫でした。三葉虫はその後の大量絶滅でもしぶとく生き残りましたが4度目の大絶滅で滅亡しました。この大絶滅は絶滅史上最悪で海中の生物の96%が死に絶えました。直近では6600年前の5度目の大絶滅。大隕石の衝突で多くの恐竜やアンモナイトなど、生物の70%が絶滅しました。

 大絶滅により大きなニッチができます。生き残った種が進化してそのニッチを埋めます。ただし基本的にそれまでにいた種以上に多彩になることはありませんでした。脊椎動物にしても恐竜辺りで頂点に達しました。肉食恐竜が絶滅してできたニッチには環境が落ち着いた頃、恐鳥類というダチョウを大きくしたような肉食の鳥類が現れ、やっと日の目を見るようになった哺乳類をいじめましたが、やがて大型化した哺乳類が恐鳥類に取って代わりました。その頃には霊長類が誕生してさらに人類が現れました。これまで30種近くの人類が現れては消えていきました。残ったのはやや先輩のネアンデルタール人と我らがホモサピエンス。ネアンデルタール人はヨーロッパ近辺に生息して青い目で金髪でした。ラグビー選手のようにガッチリした体格で、1対1で戦ったらホモサピエンスはやられたはずです。ホモサピエンスには想像力があったため連係プレーがとくいでネアンデルタール人に勝ったと言われていますが本当でしょうか? アマゾンの奥地にいるピダハンという種族は目の前にあるものしか信じなく、ある宣教師は30年で布教をあきらめたそうです。私はホモサピエンスはネアンデルタール人とはまともに戦ってはいないと考えます。アフリカで誕生した我らがご先祖の一部は新しいニッチをもとめて延々とベーリング海峡を渡り数万年後には南アメリカにまで到達しました。それに対してネアンデルタール人はヨーロッパ近辺にうろうろしたまま。これではホモサピエンスに取って代わられるわけです。  さて、現在15人に1人は発達障害と言われていますが、多様性と言ってもよいでしょう。自分に適したニッチを見つけることが幸せをつかむコツではないかと考えます。