佐野理事長ブログ カーブ

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第374回 忙酔敬語 界隈旅行

 海外旅行は、フランスやイタリアなどフライト時間があまりにも長いので、この歳になると気分転換になるどころかヘトヘトに疲れます。3時間程度のフライトまでならOKですが、こうなると韓国や香港、せいぜい台湾あたりまでです。もうこれで充分、それ以上は絶対にイヤだと家族にも宣言しました。

 それでも海外旅行となるとパスポートの更新などいろいろ面倒です。また、外国語も多少は勉強しなければ現地の人たちと楽しいコミュニケーションは出来ません。そこで思いついたのが界隈旅行。界隈(かいわい)とは「そのあたり」という意味です。私にとっては札幌やその近辺となります。そんな所を旅行だなんて単なる散歩ではないか、と思われるかもしれませんが、そのとおり、散歩に毛が生えたようなものです。

 この冬、天気が悪く、タクシーを頼んでもすぐには来てもらえず、しかも道路が雪でせまくなったため時間どおりに目的地に行けるかどうか定かでありませんでした。そこで街中への移動はJRや地下鉄を基本としました。もちろん徒歩の時間は増え、1日に10kmはざらとなりました。しかしながら、ゆっくり歩くことを覚えたので疲れは感じませんでした。歩きながら個性的な店を目にすると、時間があったらいつか立ち寄ってみたいな、と思ったりしました。そこで界隈旅行を思いついたのです。

 界隈旅行の交通手段の基本は景色が楽しめる路線バスです。バスに目的もなく乗って気に入った所で降りて散策したり食事をしたり喫茶店に入って文庫本を読む。札幌市内の路線バスは200mごとに停留所があり、通り過ぎても「しまった!」と言うほどではないのでブラリ旅には最適です。しかし、路線によっては本数が少ないので、停留所でボンヤリと待つしぶとさが必要です。最近は歳のせいで自然にボンヤリするようになったので、おかげさまで待つのは苦ではなくなりました。札幌の路線バスは石狩市花川へも通じているので、いつかは花川界隈にも行くつもりです。

 地下鉄は外の風景が見えないのでボンヤリ旅には適していませんが、とりあえず遠くへ行こう、という時には必要です。私は麻生界隈、北24条界隈、札幌駅界隈、大通界隈など馴染みの界隈が限られているので、それ以外の界隈に行くのはそれこそ海外に行くような新鮮さを覚えることでしょう。地下鉄を降りたら、もよりの路線バスや路面電車を利用します。そして外を眺めて気に入った所で降りて散策となります。

 界隈旅行は学会などで札幌以外の土地に行くときにも応用できます。

 3月2日(土)、東京品川で東洋心身医学研究会に参加しました。たまにはノンビリしたいと思って、3日、4日と休みを頂き、界隈旅行をもくろみました。3日は川崎市、4日は町田市。ちょうど梅の季節で、企画は良かったのですが、あいにく、その日に限ってほとんど終日雨。その両日前後は晴れていたらしい。ついてないなあ‥‥‥。

 川崎では柿生といって市街地からはずれた地区に逗留しました。坂の多い場所で、梅は白梅やら紅梅やらがチラホラ咲いていました。そして見たこともないハトくらいの大きさの尻尾の長い鳥が飛び交っていました。多分、オナガでしょう。

 町田は東京の一部が間違って神奈川県に突出したような所です。期待にたがわず、田んぼと畑と人家と入り交じり、まさに里山でした。

 しぶとく来年も訪れてブラブラと界隈旅行をするつもりです。