院長ブログ カーブ

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第43回 忙酔敬語 シミの積極的無治療 

以下、札医通信に掲載されていた時計台クリニックの河合祐子先生のエッセイです。

数年前、私は両頬のシミがとても気になっていました。私は、金に糸目をつけず(ウソです)、あちこちの美容液や美白化粧品を使いましたが、目立った効果はない・‥。じゃあ、専門家に聞いてみよう!と思い立ち、ある土曜日、某有名美容形成外科の無料カウンセリングに行きました。現れた美容外科の先生は、若くてイケメン、しかも美肌。うっとり~。私は、「私は内科医で」とは言わず「きれいになりたいですぅ~」と言いました!。美肌先生、「では診察します」と、おもむろに振り向き、じ~っ。あんまり真剣な目つきで近づいてくるので、キスされちゃう(♪)と思わず眼をつぶりましたが、もちろんそんなことはなくて、先生の視線は、頬のシミ。「これはこすりシミです」というご診断。美肌先生のお勧めの薬品治療は断って私がすることにしたのは「積極的無治療」。こすったりたたいりする刺激でシミになるのだから、じゃあ、なにもしない。

□朝は顔を洗わない。水をつけたコットンで目の周りを拭くだけ。
□つけるのは日焼け止め。ファンデもほお紅もつけない。指が肌に触れるのは最小限に押 し付ける。
□夜は泡洗顔。石鹸を両手で泡立て、指で肌をこすらない。
□お風呂場で、顔を上に向けてシャワーで流すのは禁。下を向いて両手にお湯をすくい、 このときも手でこすらないように流す。
□日なたでは大きなサングラス。紫外線がシミの原因になるので当然ですが、それだけで はない。強い光が瞳孔に入ると皮膚が守ろうとしてメラニンを生成するいう説あり。

積極的無治療を始めて(というか、顔を洗わなくなって)しばらくは夕方になると顎のあたりが乾燥し、鏡を見ると白くコナを吹いてることがありました。そのうち皮膚が、「化粧水も美容液も来なくなった。自分の身は自分で守らにゃ」と思い始めたようで、皮膚がしっとり、カサカサしなくなりました。女性ホルモンも有効です。いい男がいたら、さっと近付く! あの無料カウンセリング、美肌先生に見つめられた時に女性ホルモンが活性化されたと思います。美容形成医がイケメンなのは、治療の一環と言えましょう。シミの原因はこすったりたたいたりの物理的刺激だけではないので、積極的無治療で全くなくなるわけではありません。しかしいくら効果が高い化粧品でも、それを肌につけるときは物理的な刺激を与えては何もなりません。要はつけ方です。さて、ある日。私は鏡を見て、「う、薄くなってる‥!」両頬のシミが薄くなっていることを確認しました。高価な化粧品やレーザー治療の前に、積極的無治療。まずは3ヶ月、触らない、こすらない。シミは消えないまでもかなり薄くなります。

積極的無治療はシミの治療にとどまらす、全医療にも参考になると思います。医療費の問題が取りざたされていますが、本当に必要な治療は何なのか、あらためて考えさせられました。ユーモラスなエッセイですがとても深いなと感心しました。