佐野理事長ブログ カーブ

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第220回 忙酔敬語 エクオール

私は健康補助食品は基本的に信じていません。テレビのCMを見るたびに、あーぁ、こんな物にお金を払うより、もっと美味しい物を食べればよいのに、と思っています。
例外的に大塚製薬のエクエル(エクオール)の有効性はきちんと実証されているようです。
大豆イソプラボンは植物性の女性ホルモン効果があります。したがって更年期障害に有効とされてきました。しかし、なかには効かない例もあります。イソプラボンは腸内細菌によってエクオールに変化してはじめて効果を発揮するからです。この腸内細菌は誰にでもあるというわけではなく、欧米人では約30%、日本人ではまだマシで50%です。イソプラボンに対する腸内細菌がなければいくら大豆製品やイソプラボンを摂っても女性ホルモンの効果は期待できません。そこで登場したのがエクエル。まるで大塚製薬の宣伝みたいですが、間違いなさそうです。
更年期障害や加齢による身体の変化には女性ホルモンが有効であることはご存じのとおりですが、乳癌の患者さんには禁忌とされています。その点、エクオールは安全です。イソプラボンは確かに女性の細胞を若返らせる効果があります。七十前後の患者さんの検査をしたとき、細胞が閉経前の女性のようにピチピチしているので、「何か飲んでいませんか?」と訊いたところ、イソプラボンを飲んでいるとのこと。この女性の場合はイソプラボンをエクオールに変化させる腸内細菌があったようです。
このように腸内細菌が十分にあればエクエルを摂る必要はありません。ただし日頃から十分に大豆、あるいは大豆製品を食べる習慣がないと意味がありません。具体的には豆腐(木綿1/4丁)、納豆(中1パック)、豆乳(コップ1杯)、豆もやし(1/4袋)、きなこ(大さじ1杯)、おから(卯の花1人前)、枝豆(小皿1杯)、凍り豆腐(3個)です。
このラインナップを見たとき、オレなんか煎り大豆そのものを1日100gくらい食べているぞ、とちょっとふんぞり返りました。私は2年前から、ダイエットのために基本的に白いご飯とパンや麺類はできるだけ避けて、かわりに煎り大豆を食べています。
煎り大豆の利点はまず値段が安いこと、保存が利く、豆腐とおからを同時に食べることになるので便通が良くなる、満腹になるので無理なくダイエットができる、よく噛む必要があるので老化防止になる等々。
イソプラボンをエクオールに変える腸内細菌があるかどうかは尿の検査で分かります。私の大豆食いはエクオールが目的ではないので、自分の腸内細菌がどうであろうと関心がありませんでしたが、エクオールの勉強会のあと、みんなが調べろと言ってうるさいので検体を研究所へ送りました。その結果は何と最高レベルでした。
男性にとってエクオールがどんな利点があるのか調べたところ、前立腺肥大および男性型脱毛症(ようするにハゲ)の予防効果があるということでした。しかし、もともと両方とも私には縁がなさそうです。というのは前立腺腫瘍マーカーは正常の男性とは桁違いに低く、お前本当に男か?と言われるほどで、髪もさいわいにもフサフサ。
それに対して気の毒にも看護師Sさんの結果は、前日に豆腐を1丁食べたにもかかわらず最低レベルでした。あまりにもしょげているので、「オレのウンコを移植するか?」と言ったら、もちろん断られました。