院長ブログ カーブ

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第21回 忙酔敬語 妊婦さんでもシートベルトを

「まだこんな妊婦さんがいるんだ」と私は呆れました。「えっ、妊娠していたらシートベルトはしなくてもいいんじゃないですか? このあいだもお巡りさんに注意されましたが、妊婦だと分かり許されましたよ」と言うのです。
私は今までシートベルトをしなかったために大変なことになった妊婦さんを3人覚えています。
1人目は、妊娠9か月で電信柱に正面衝突して首の骨を折り集中治療室に搬送された経産婦さんでした。お腹はハンドルに軽くぶつかっただけで赤ちゃんは無事でしたが、頭は慣性の法則で前方に激しく移動したため首の骨が折れたのです。不幸中の幸いというか、神経は無事だったので脊損にならずにすみました。入院後、首は固定されたままで動くこともできませんでした。このままだと帝王切開で赤ちゃんを出さなければダメかなと思っていた矢先、首はつながり無事にお産をすることができました。
2人目は、交通事故で大腿骨折をして集中治療室に運ばれた妊娠6か月の妊婦さんでした。この方も赤ちゃんは無事でした。
3人目は、夫の運転するワゴン車の助手席に乗っていた双子の妊婦さんでした。衝突した衝撃で頭をフロントガラスに突っ込み、顔がグチャグチャになり、形成外科で丁寧に縫合を受けました。お腹の双子は2人とも無事でした。
3人に共通するのはシートベルトさえ付けていれば大丈夫だったのになということです。それ以来、妊婦さんの夫がお巡りさんと分かると「シートベルトをしていなければ妊婦さんでもしょっ引いてくださいね」とお願いするようになりました。
「窮屈だし、私の勝手でしょ」と言うかもしれませんが、お母さん、あなたの健康はあなただけのものではないのですよ。もちろん赤ちゃんの命にも影響しますし、事故にかかわった人にも迷惑をかけます。加害者の弁護をするわけではありませんが、あなたの状態が悪ければ刑も重くなります。
シートベルトはお腹の上方と下腹部の下に装着してしてください。ちょうどシートベルトの間からお腹が突き出るようにするのです。こうするとベルトでお腹の赤ちゃんに衝撃がかかるのを防ぐことができます。よろしくお願いしますよ。