院長ブログ カーブ

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第135回 忙酔敬語  血液型と性格、今日の占い 

ここに上村宣寛著『心理テストはウソでした』(日経BP社)という本があります。小気味の良い題名に引かれて10年ほど前に購入しました。しかし第1章が「なぜかみんなの好きなABO 血液型人間学」とあったので、それ以上読む気になれず、心理士のオネエ様に提供してしまいました。
昔から血液型と性格の関係について取りざたされてきましたが、まったく根拠がないと実感したのは札幌医大に入学して間もなくのときでした。ある日、急患が大量出血してO型の血液が足りなくなりO型の学生が招集されました。私もO型なので駆けつけたところ、集まった連中を見て驚いてしまいました。要するにあらゆるタイプの人間がいたからです。ヤセありデブあり、出来るヤツあり出来ないヤツあり、ホンワカしたヤツあり取っつきづらいヤツあり、体育会系あり文化会系ありで、ほとんど共通項のない連中が集まっていました。「血液型で人間は判断できないな」と心底思いました。
「お前は自分のインプレッションを優先するのか」と言う問いに対しての私の答えはこうです。だいたい統計処理をして実証するという行為は、「何か因果関係がありそうだなあ」といったインプレッションがきっかけとなって行われます。統計はインプレッションを数字で示していかにも科学的だと発表する手段にすぎません。前提となるインプレッションがなければ統計処理をする必要はありません。その結果がアイマイなら、なおさら意味のないことです。
そんなわけで血液型には興味なし。自分の家族以外は誰がどんな血液型だかとんと知りません。
ところが近ごろ、ある疾患が血液型と関係がありそうだという新聞記事を読みました。残念ながら何という病気か失念しました。ああ、情けないわが記憶力。ネットで調べてみましたがアヤシゲナ情報だけ。しかし、これはあり得ることです。血液型を決める遺伝子と疾患の遺伝子が染色体の近くに存在すれば、かなりの確率で関連が出てくるはずです。
さて、「今日の占い」。毎朝、フジテレビ系列で8時直前に放映されています。当直明けは朝食をとりながら「特ダネ!」を始めの方だけ見ているのでイヤでも目に入ります。これが実にうっとうしい。2011年の3月11日の震災以後は、しばらくの間、軽薄な内容の放送は自粛されていたので、「占い」も見なくてすみました。テレビ局も「占い」は自粛すべき項目に入れていたんですね。
どうして「今日の占い」に敵意をいだくのかというと、同日に生まれた赤ちゃんの運命が同じとは、どうしても考えられないからです。明け方にお産が3つあったときなど、「さっき生まれた赤ちゃん達の今日の運勢はみんな同じなのか?」と突っ込みを入れたくなります。さらにラッキーメニューなんて誰が考えるんでしょうねえ。赤ちゃんは母乳も含めてミルク以外、選択の余地はありません。
人はどうも「占い」に弱いようで、アメリカの宇宙物理学者カール・セーガン博士は大統領(多分レーガン)が「星占い」に頼ると嘆いていました。それに対して古代中国でも「占い」を屁とも思わない人間がいました。周の軍師、太公望は、戦の前の「占い」で「凶」と出たとき「死んだ木っ端に何が分かるか!」と足でへし折って殷王朝を滅亡に追いやりました。しかし、「占い」はその後も耐えることはありませんでした。やれやれ‥‥。