院長ブログ カーブ

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第103回 忙酔敬語 北大薬学部での講義

今年も今一だったなあ。昨年の12月16日に北大の薬学部で講義をした感想です。
近年、薬学部は、医学部や歯学部のように6年制になったため授業にゆとりができ、選択科目として東洋医学概論というコマができました。今年度は、北大常勤の教官が2名、外部からの4名の医師で7コマの講義を担当しています。7回の授業で東洋医学を理解するのはとうてい無理なので、私は漢方を知らない人間でもすぐに使用できるような話をしたいなと考えていました。ただし外部の講師の中には、私と同じく産婦人科医の八重樫 稔先生がいるので、八重樫先生とかぶらない内容にしなければなりません。しかし、八重樫先生のお話は私のように行き当たりばったりではなく、いつも系統的でキチンとしているので心配はありません。
当初は、漢方を知らない産婦人科の医師に見放された「骨盤内うっ血症候群」と「月経前症候群」にしぼって、それぞれ4,5種類の漢方薬を紹介しました。学生の反応は今一で、中には居眠りする学生も現れました。学生にウケナイということは学生にとって意味がない講義だからです。学生は何を期待しているのか知りたくて、担当教官の久保田先生に東洋医学概論を選択した学生の目的を伺ったところ、将来、薬剤師をめざす学生が多いとのことでした。
そこで翌年は、調剤薬局に来る更年期の女性にターゲットを絞って、更年期障害に使われる処方について解説しました。漢方薬を使いこなすには、知っている薬の数が勝負になります。30種類近くの処方について解説しました。これは学生にとってはお経を聞いている気分になったのでしょう。半分くらいの学生がコックリコックリし始めました。こうなるとこっちの方もテンションが下がり、コックリコックリしたくなりました。これでもう私はお払い箱かなと思ったら、また、つぎの年もリクエストをいただきました。
その年、私は東北地区の東洋医学会で特別講演をしました。内容は、東洋医学を知らない産婦人科医に見放された女性の下腹部痛についてでした。「骨盤内うっ血症候群」と、誰にでもできる簡単なハリ治療のお話をしました。講演後、私のまわりに多数の先生が集まり、「とても良かった」と言ってくれました。「ようし、来年はこれで学生を眠らせないようにするぞ」と自信を深めました。
つぎの年、東北の特別講演とほとんど同じ内容の講義をしました。これでも反応は今一で居眠りする学生も何人かいました。薬学部でハリ治療はまずかったかなと思いましたが、久保田先生は「東洋医学ですから鍼灸についての知識も必要です」と言ってくれました。
昨年、「産科と婦人科」という雑誌の7月号で「産婦人科が知っておきたい慢性疼痛」という特集がありました。私は「骨盤内うっ血症候群」を担当しました。ほかの執筆者の先生たちが困ったような内容で書いていたのに対して、私だけは自信満々な調子で書きました。そして漢方で治らない場合はハリ治療が即効するとこれまた自信満々で結びました。 このノリで薬学部に行きました。今回はハリ治療の機器も持参しました。ノリは良かったので、さすがに眠る学生はいませんでしたが、いざハリ治療の実技をしようとしたところ、参加してくれたのは首筋が痛いという2名だけでした。腰痛だったら最近発見した方法でビックリさせることができたのに首筋ではなとずっこけてしまいした。学生もずっこけたことでしょう。来年こそ学生が満足する授業をするぞと誓ったしだいです。