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忙酔敬語/院長ブログ

2018.10.8
第350回 忙酔敬語 闇の中

9月6日の震災後2日目、本家の主一君から安否確認の電話がかかってきました。主一君は私より4歳年下の従兄弟。年賀状をやり取りしていますが面と向かって会ったのは半世紀前の少年時代で、以来、ほんの数回、お互いの母親のグチを電話でやり取りしただけでした。佐野家は江戸時代から山梨県南巨摩郡南部町内船7202で田舎医者を延々と営んできてきました。この住所は結婚するまで私の本籍として使っていたのでいまだに覚えています。しかも併合されることもなく変わっていません。途中で血筋が絶えることもありましたが、そこは昔の常套手段の養子でしのぎ、現在に至るまで頑張っています。

内船は富士山の近くにありますが周りを山に取り囲まれているので富士は見えません。しかも富士火山帯にスッポリと入っていて厚真町よりよほどヤバイ場所です。主一君も「まさにレッドゾーンです」と電話の向こうで笑っていました。

地震当日、当院もご多分にもれず停電となりましたが診療は続行しました。コンピューターは使えず会計もできませんでしたが、軽症の患者さんまで救急病院へ殺到するようなら混乱を招くだろうと、あえて診療しました。おむかえの「はるにれ薬局」も週明けの4日分の処方までということで協力してくださいました。改めて感謝します。

当然、エコーも使えません。そこで妊婦健診は連絡のつく範囲で延期としましたが、私も郷久理事長もエコーのない時代を経験しているので、昔取った杵柄だと腕をさすりましたが受診した妊婦さんはたった一人。母子手帳には子宮底、腹囲といった欄がありますが当院では空欄となっています。それらはエコーのない時代に赤ちゃんの大きさを推定するものなので現在は必要ないからです。お腹の赤ちゃんの大きさが問題になってくるのは妊娠8、9ヵ月あたりからです。そのときの子宮底長は妊週数から2~4㎝引いた程度です。それ以降は30㎝以上あれば赤ちゃんの成長は問題ありません。久しぶりに測定したところ妊娠37週6日で子宮底長は31㎝、レオポルド法といって産科独特の触診で赤ちゃんの位置や向きなどをいつにも増して丁寧に行い、赤ちゃんがどんな姿勢でいるのか説明しました。そしてドップラーで赤ちゃんの心音を確認しました。お母さんは「触っただけでそんなことまで分かるんですか?」といつもよりも尊敬のこもってた目で見てくれました。

「分かります」と高揚した気分で答えました。

ラジオの放送では、救急診療をしている病院だけをくり返して放送していたので、結局、受診したのは小児科でワクチンを予約している5人ほどのおちびさんを含めて24人で、いつもの5分の1程度でした。その中には不正出血など2,3人の初診の患者さんもいました。50人くらいは来るだろうと予想していましたが、ほとんど薬の処方が切れた患者さんでした。皆さん、4日の処方で納得していただけました。

三次医療機関では電話で緊急会議をして市内の分娩施設で対応できなければ引き受けてくれるという対応をしてくれました。手術室は使用できず帝王切開は無理でしたがヘッドライトなど利用して分娩は可能でしたが、幸いにもお産ラッシュは翌週からでした。

さて、その日は私が当直。厨房も被害はなく通常どおり入院患者さんに食事を提供できましたが、停電のため7時を過ぎると医局は真っ暗になりました。産科医療施設は優先的に電気を供給してもらい、その日の夜11時前に明かりがつきましたが、その間、4時間の暗闇の中。ラジオ放送を聞きながら、いつもよりも充実した気分で過ごしたのでした。

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