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忙酔敬語/院長ブログ

2018.9.3
第345回 忙酔敬語 甘い誘惑 

この夏、私の食生活が危うくなりました。甘いクッキーやゼリーなどのお中元、冷凍庫の中のチョコアイスなどの誘惑に惑わされたからです。

甘い物、とくに果糖は本来、植物が昆虫や動物を引きよせるワナです。蜜に集まるハチによって花粉をばらまいてもらうことで子孫を増やすというのが目的です。別にハチの健康のことを気づかってはいません。まっ死ななきゃいいか、という程度です。果物も種子をばらまく手段です。蜜や果物を主食としている動物は、ハチドリ、フルーツコウモリと確かに存在していますが、彼ら(彼女ら?)はそんなに長生きではありません。

ある小学生がアリの好物を調べたことがありましたが、意外にも砂糖よりもスルメや煮干しに群がるアリの方が圧倒的に多かったそうです。昆虫学者がすでに実験で実証しているかもしれませんが、この小学生、将来、おそるべしです。

私が若き東洋医学会のホープとして尊敬している中田英之先生は、漢方薬を飲む前にスウィーツ、とくに果物を控えるように指導しています。いくら漢方治療をしても食生活がなっていなければ治るのもの治らないと言うのです。そんなことを言っていながら、中田先生は講演後の懇親会で、デザートのチョコレートケーキをペロリとたいらげました。

「それはどういうことなんですか?」となじると「たまにはいいんです」とすました顔でした。何だかあやしくなりました。

しかし、朝日新聞の「動物園の食卓革命 バナナ禁止 サル健康に」という記事を読んで考えをあらためました。以下、記事の抜粋。

〔山口県宇部市のときわ動物園。スリランカ原産のトクモンキーは1年前、短い灰色の毛がまだらに見えていた。いまは12頭の多くが茶色の毛をまとう。手並みの変化は、エサの変化と連動している。昨年1月末から、バナナとリンゴの果物をやめ、それまでゼロだったキャベツなどの葉物野菜を大幅に加えた。根菜類は3分の1、その他の野菜は2倍に。大豆などタンパク質も加えた。すると間もなく明るい茶色ががはえそろった。・・・・〕

この内容を見ると、本来、植物が食べて欲しくない、植物の命の根源となる葉っぱや根っこ、あるいは栄養のつまった種子が動物のカラダにとって良いとこがうかがえます。やはり、蜜や果物は動物を引きよせるワナだったのです。もちろん、植物が自分で考えたワケではありません。進化する過程でそうなったのです。

でもさすがワナだけあって、その魔力は強力です。かく申す私もアイスにハマっている患者さんに、こんこんとアイスがいかにイケナイかを説明した後、「そう言えば医局の冷凍庫にアイスキャンデーがあったな」と無性に食べたくなり、すぐ医局に行って2本も食べてしまいました。また、4月に当院で長年つとめてくれた助手さんが置いていったロイズのチョコレートの大きな詰め合わせの魅力に負け、当直のとき、5種類のチョコを2クール、すなわち10個も食べて、「俺はバカだ!」と落ち込みました。

まるで映画『ショコラ』で、ある町にやって来た不思議なチョコレートを作る母娘に敵意をいだいていた市長が、最後の場面でチョコレートにまみれてもだえるような気分でした。よけいなことですが、この素敵な映画に一つ注文があります。放浪の民、ロマのジョニー・デップが登場する場面はジャマです。ジョニー・デップは好きな俳優ですが、この映画の魅力があいまいになって残念でした。まるで客寄せパンダです。

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