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忙酔敬語/院長ブログ

2017.12.25
第309回 忙酔敬語 たらいにおしりを入れて、ジャブジャブ洗う

萎縮性膣炎は産婦人科領域では日常にお目にかかる疾患です。女性ホルモンの低下によって腟内のグリコーゲンが減少し、それを餌にしているデーデルライン桿菌(乳酸菌の一種)が少なくなり雑菌がはびこりやすくなるために生じる現象です。

外陰が赤くただれてオリモノ(帯下)が多くなります。昔はこのオリノモのことを「こしけ」と言っていました。

漢方薬の龍胆瀉肝湯や温経湯などの効能にも「こしけ」と記載されていますが、今は「こしけ」の意味を知っている人はほとんどいません。かく申す私も医師になって2年目に読んだ本の中に「こしけ」の表現がありましたが何のことやらサッパリ分かりませんでした。製薬会社は昭和50年代の初期に薬の効能について国に届け出をしましたが、その後に訂正するとなると煩雑な手続が必要となるため訂正のないまま現在に至っています。

話がそれました。萎縮性膣炎のことでした。ふつうは閉経を過ぎた女性に見られます。そのため昔は老人性膣炎と言っていましたが差別用語みたいなので今は使われていません。でも老人性膣炎と言ったほうが患者さんは納得しますけどね。治療は膣洗浄して女性ホルモン腟錠を処方します。自分で入れるのはイヤだと言う人には経口薬もあります。

産後も女性ホルモンの分泌は中止状態なので、膣炎を起こすことがあります。そういうものだと説明すればほとんどの方は納得しますが、やはり気になると言う人には腟錠を処方します。経口だと乳汁分泌に影響することもあるからですが、まあ、経口でもホルモン量は少ないのでほとんど心配はありません。

おチビさんもまだ女性ホルモンを分泌していないので、外陰が炎症を起こして下着が汚れて、お母さんが心配して連れてくることがあります。

1997年の朝日新聞の「わくわく子育て」というコーナーで、聖路加国際病院の細谷亮太先生が、オリモノについて「ウンチの後 よく洗って」と解説していました。もう、20年もたっていますが、コンパクトで分かりやすいので、この欄をコピーして今に至るまでお母さんたちに配布しています。

<ふつうは、ウンチやおしっこの後始末が不充分なことが原因で起きますが、‥‥‥。くり返さないようするためには、ウンチのあとをふいたら、そのあとでたらいにおしりを入れて、ジャブジャブ洗うことです。‥‥‥‥。そのあとで、よく乾燥させるのも大切です。パンツもゆったりめのものがおすすめです。‥‥‥‥>

私はこの「たらい」ウンヌンカンヌンで、てっきり細谷先生はすでにご高齢ではないかと思い込んでしまいました。「たらい」は古き良き時代に選択や行水に使われていましたが、当時はすでに死語に近い状態。そのため数年前からは、このパンフレットをわたす際、「もう、この先生は亡くなっているかもしれないけど」と余計なことを言っていました。

それが、最近になって私と4歳しか違わないことが判明しました。失礼しました。細谷先生は山形県生まれ。きっと素朴な環境で成長されたのでしょう。現在も小児科医としてはもとよりエッセイストや俳人としても活躍されています。

おチビさんの膣炎に対しても小児用の低容量経口ホルモン剤がありますが、シャワーによるおしりジャブジャブと亜鉛華軟膏でほとんどが解決しているので、いまだにホルモン剤は処方したことはありません。あらためて細谷先生に感謝です。

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