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忙酔敬語/院長ブログ

2017.11.6
第302回 忙酔敬語 畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』(講談社文庫)

初版は2005年4月15日、単行本は2000年11月刊行。

先日、紀伊國屋の店先に第31刷(2015年7月30日)が山積みになっていたので迷わず購入しました。

畑村先生の「失敗学」を知ったのはNHK教育テレビで再放送を見たときでした。

おぼろげな記憶ですが、4つのエピソードをまじえて解説されていました。順不同ですが以下のような内容だったと思います。

1.味を忘れさせない

失敗というワケではありませんが、アメリカからの牛肉の輸入が途絶えたことがありました。当然、吉野家はそれまでの価格では営業ができなくなり、牛丼は豚丼に変更されました。そこで、いつかは輸入できることを見込んで、吉野家は採算を度外視して低価格の牛丼を定期的にサービスしました。そのおかげで客は吉野家の牛丼の味を忘れず、吉野家から離れることはありませんでした。その成果はご存じのとおりです。

畑村先生はご自身でも「吉野家の牛丼は美味しいですよね、私も好きです」と言っていましたが、私は「そのなものかな」と思っただけで、いまだに一度も吉野家の牛丼は食べていません。だってカラダに悪そうだもの‥‥‥。

2.失敗を忘れない

重大な失敗は二度と起こしてはいけません。悪い記憶は忘れたがるのが人情ですが、JALは1985年の史上最悪の墜落事故の機体の一部を展示しています。畑村先生は同じ失敗をくり返さないために大事なことだと高く評価していました。

3.事故の背景にあるもの

2005年4月25日、JR宝塚線の脱線事故で運転士1名を含む107名が死亡しました。直接の原因は、出発を遅らせた運転士がカーブで減速しなかったためとされています。しかし、畑村先生は運転士がなぜ減速しなかったか?と疑問を持ちました。この路線を利用する客の多くが次の駅で乗り換えをします。その時間がわずか5分。この無理なダイヤのため、遅れを取り戻そうと運転士はカーブを減速しないで突入したのだと考えました。

失敗学は責任を個人に求めないで事故の背景にあるものを広い視点でとらえます。

4.本当に失敗だったのか?

2004年10月23日、新潟県中越地震のため上越新幹線が脱線しました。新幹線史上初めての脱線事故で、安全神話説がくつがえされたとマスコミは騒ぎました。しかし、それによる死傷者はゼロ。地震という災害の中でこれだけの事故ですんだのは、様々な状況に備えた結果だと、これは失敗でなく成功例だと畑村先生は評価しました。

番組を見た後、これは医療事故にも応用できる知識だなと感動して、書店のNHKテキストコーナーでこのシリーズのテキストを探しましたが、すでに本社でも完売とのこと。再放送じゃしかたないなとあきらめました。

その後、東日本大震災とそれにともなう原発事故など人災と言うべき事件が相も変わらず続いています。みな「失敗学」を無視したと結果と断言できます。

『失敗学のすすめ』は税別わずか552円の本です。各施設、学校、責任ある立場の人など、座右の書の一つとして買い求め、ぜひ熟読することをおすすめします。

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